2012年12月23日日曜日

全曲バイブル回想録 Michelle

It was 3 years ago today...

そろそろ全曲バイブルについて語っても良い頃かと思う。
久しぶりに眺めてみたが、内容は色あせてないと感じる(文章は説明がクドい箇所もあるけど)。

この企画の話を頂いた時、最初に思ったのは「事実に基づいた記事で構築したい」という点だった。ビートルズマニアなので語りたい内容はたくさんある。しかし、適当な推測記事を読み飽きていた、という読者側の視点も持ち合わせていた。根拠を示した推測であれば読者の支持も得られるのではないか、という判断は正しかったと思う。事実を示して、読む側に独自の分析を楽しんでもらう、というのが狙いだった。

この本の基礎となっているのがマーク・ルイソン氏の『レコーディング・セッション』であることは言うまでもない。画期的な内容だった。聴き慣れたビートルズの曲が音楽のパズルに変わった。大半の曲が4トラックレコーディングだったことも幸いし、曲作りを分析できる状況になった。自分で語りたかったのはこの点だったが、ほとんど記載していない。スペースが足りないというのもあるが、推測の比率が多くなるほど、全体の信頼性が低下すると感じたからである。

ただ、Michelleに関しては触れさせて頂いた。この曲の録音順序がビートルズの転換点だと思う。デビュー当時は2トラック録音ということもあり、歌と演奏を同時に録音していたが、じきに演奏を先に録音して歌を後から録音するという(今では一般的な)方法になった。この演奏を録音する際、ガイドボーカルと呼ぶ仮歌を入れておくこともあったようだが、この曲ではガイドベースなるものが存在している点が画期的なのである。
一番最初に録音するものはベーシックトラックと呼ばれ、通常はドラムス、ベース、リズムギターで構成されるため、ポールはベースを弾くのが常であった。ところがこの曲ではアコースティックギターも重要なポイントであると判断して、ベーシックトラックでギターを弾いたのである。I've Just Seen A Faceでも同じことが行われているが、あちらはジョージが12弦ギターでベースラインを弾くという試みで完結していた。こちらは、ポールが改めてベースを入れ直すことが前提となっている点で画期的と言える。
この曲以降、ベーシックトラックの構成は不確定となり、ジョージやジョンがベースを弾く必然性が生まれたという点で、レコーディングの転換点と言える。

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